コメント

映画『風切羽〜かざきりば〜』6月22日(土)より全国ロードショー

巧みさと稚拙さが交互に、ひっきりなしに現われるところなど、新人監督らしい部分もある。
しかし、ボクは、小澤雅人監督を、『風切羽』を高く評価したい。
この映画には、怒りがある。静かだが、熱がある。
こんな新人監督は、滅多に現われるもんじゃない。恐るべき、子供だ!

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小林政広【映画『愛の予感』『春との旅』『日本の悲劇』監督】

スクリーンに引きつけられたまま時間を忘れた。
余韻に浸り続けながら考える愛、憎しみ、孤独、親子、社会。。。
映画の持つチカラを久しぶりに感じた日本映画!

ヤン・ヨンヒ【映画『かぞくのくに』監督】

監督の想いが何のてらいもなくストレートに伝わる真摯で丁寧で素直な作品。
主演女優のまさに体当たりな感じが清々しい。
「ザ・千葉!」な風景描写は必見。
羽切られたって飛ぶぞ!子どもは!!

土屋 豊【映画『タリウム少女の毒殺日記』監督】

感動せずにはいられない。
若さと経験の浅さからは信じられない音楽センス、行間の運び方、そして台詞回しを持つ小澤さん。
彼こそ世界が注目すべき才能である!

キャレン・セバンズ【日本外国特派員協会フィルムプログラマー】

サヤコはまるで生まれたて、血だらけで泣いている赤ん坊だ。
ヒトは誰かに無条件に抱きしめられなければ、人間になれないのだと、
サヤコが教えてくれる。孤独な魂を宿すサヤコの眼差しに心が震える。
「サヤコは私」だった。

稲塚由美子【映画『隣る人』企画/ミステリー評論家】

二人のあてのない道行で見えてくるのは、ケンタやサヤコの過去だけでなく、
彼らの家族のもがく姿や社会で孤立する者、あるいは「世間」という予め用意されたステージで、
自分を殺し仮面を被って生きている人たちの冷めた心象風景でした。
「ちくしょう!」「バカヤロウ!」
サヤコとケンタの叫びは、虐げられてきた多くの子どもたちの声であると同時に、
過酷な環境で子育てを必死でする親たちの、社会への罵声にも聴こえました。

安藤哲也【NPO法人タイガーマスク基金 代表理事】

私にとっては、ちょっと心が強くない日には、見られない映画ではあります。
でも、虐待を受けた子どもの、持って行き所のない心、
そして、追い立てられるように、いろいろなことから逃げていく中で重ねてしまう犯罪…。
もともと子どもは悪くないのに、理不尽な環境に置かれてしまう子どもたちの、
苦しい心が、よく描かれているように思いました。

高祖常子【NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク「オレンジリボン」理事】

人生に対する残酷な凝視
そこにそっと重ねられた深い愛情
現代的語法の深淵を見せてくれた

キム・ヨンジン【全州国際映画祭 主席プログラマー】

両親に裏切られ、自己の存在を否定され殺されつづけている
サヤコの姿を見るのはとてもつらい。サヤコの自虐的な行為も
攻撃的な態度を見るのも胸が痛くなる。
でも、この映画から目をそらしてはいけない、と思う。
無数のサヤコたちが、私たちのまわりで人知れず叫びつづけて
いることを教えてくれるからだ。

刀川和也【映画『隣る人』監督】

痛みを美しい映像美で描き、心情を鳥に重ねていくという描写、
とても丁寧に追っており、最後のシーン、台詞、
風切羽というタイトルがとても浮き上がってくるように感じました。

片山 瞳【女優/『海燕ホテル・ブルー』『千年の愉楽』ほか】

美しい映像に刻まれる悲しい現実。
主人公の少女が現実から動き出す瞬間、悲しさとおかしさが入り混じる、
その姿が愛おしかった。
形は違えど全ての人間は母の愛を求めるのだなと、
昔の自分を見ているようで痛かったです。

小栗はるひ【映画『どんずまり便器』監督】

もぎとられた羽の痛みを抱えて飛べば
全身から沸き立つのは世界の叫び
飛べない少女の美しさに見とれてしまう

小野さやか【映像作家/映画『アヒルの子』 監督】

私たちは18年前から児童養護施設入所児童の心理ボランティアとして
思春期の子どもたちと多くの時間を過ごしてきました。
「風切羽」の中のサヤコはまさに私が側で見てきた女の子です。
今は生活する施設もあり、サポートしてくれる職員もいる、
けれど本当の意味で自分の居場所がない、見つけられない。
思春期の子どもたちは、少なからずみなそんな体験をするのだと思います。
ただ、大きく違うことはサヤコは自分の親から虐待をうけていたということです。
無条件に愛されるべき時期に愛される体験をしていない。
それがどれほど子どもたちの心に傷を負わせているのか、生きづらくしているのか、
この映画を通して少しでもそういう子どもたちの心を感じて頂ければと願うばかりです。

中山すみ子【NPO法人 CROP-MINORI代表理事】

どれだけの愛をもってしても、相手が受け止めてくれなければ、
それは苦しみへと変わる。
投げても投げても受け取ってもらえない愛は、
ただ激しくぶつけるしかないんだ。
「おかえり」の言葉を聞くまでは。
作り手の顔が見える映画が僕は好きだ。
この映画には、小澤監督の「怒り」と「執念」が見える。

市井昌秀【映画『無防備』『箱入り息子の恋』監督】

この映画についてあれこれ書いても、
この映画を観る以上の言葉にならないようなところがある。
映画自体が、同時進行で今起きている現象そのものに見える。
こういう作家が現れ、残って行かなければ、日本の映画なんて終わりだ。

谷岡雅樹【映画評論家/ノンフィクション作家】

ヒロイン秋月三佳の肉体の生々しさが凄い。
内にこもる孤独な精神を裏切るように成長過程の少女の身体は
過剰に自身の存在を世界にアピールする。
その心身のアンバランスな揺らぎを、カメラは常に的確な距離を取りながら
こぼさず記録する。その危うかしさが、映画全編にみなぎる緊張感へと
直結していくシンプルな構成の強さが素晴らしい。
世界は彼女にとって冷たいが、それを見守る監督の視線はどこまでも率直で優しい。
特に好きなショットがある。冒頭で、鏡を前にヒロインの踊るショットは、
その的確なカメラポジションと相まって鮮烈で、映画全編に決定的な余韻を残していた。
こういう絵が見たくて自分は映画を見ているんだな、と再確認できました。

深田晃司【映画『歓待』監督】

夜道を走る美しい映像がいつまでも残っています。
「自尊感情が低いとは失うものを持たないという事なのだ」
とサヤコを見て気が付き痛みました。
傷を刻んだ幼い心は満たされなかった愛を求め、周囲を巻き込み空回りする。
不器用で純粋で。幼い日のあの子達を抱きしめ「あなたは悪くない」と伝えたい。

りさり【漫画家】

順不同・敬称略